先日、某会社さんの社内勉強会の担当の方と話をしてきました。
その会社さんは、社内勉強会がちょこっと有名で、外からみると結構力をいれてやっているように見えます。
社員さん達も、忙しい中でも主体的に勉強会に参加しているようです。
一般的には社内勉強会って、面倒くさがられることも多いかと思うんですよね。こんなクソ忙しいときに、勉強会なんか行ってられるか!仕事するか、家に帰って休むわ!みたいになるわけです。
でも、その会社は違うんですよね。忙しいからこそ、勉強会に行ったりします。
なぜだ!?
その担当者いわく、
「社員が真に求めていることを実施するんですよ。続かない勉強会は社員が求めていないことをやってるから続かないと思うんですよねー」
ということ。
どういうこと?と思って話を聞いていくと、勉強会に参加する社員さん達は、スキルアップなんか求めていないというのです。勉強会といったら、普通はスキルアップ等を目的に参加するもんですよね、だって「勉強」会なんですから。
でも、社員さんが本当に求めているものはスキルアップではないと。表向きには勉強をしにくるんですけど、実は参加する社員さんが「来てよかった!」と思うものは、その勉強会で得られる「自分の知らなかったこと(業務に直接関係ないことでも)」や「社内の知らない人との繋がり」だったそうなんです。
言われてみたら、そうですよね、一般の場で行われている勉強会に参加するときは、コンテンツも見るんですけど、そこに誰がくるのかとか、参加したあとどういう展開がありそうか、とか、そういうところも立派な価値ですもんね。
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…ということで、その会社さんは、スキルアップのコンテンツをやめて(少なくして)、多種多様なコンテンツを勉強会に取り入れたそうです。そして多様な参加者が集まることで、参加者が自分の興味や社内の繋がりをつくれるように、場を再設計してみたそうです。
すると、あら不思議、参加者は自分ごととして主体的に勉強会に参加するようになったそうです。コンテンツが多様で興味ベースなので、集まる人の部署や役職もバラバラです。全くはじめまして人で場が構成されやすいのです。(普通の階層別研修などの業務ベースのコンテンツではこうはいきません)
勉強会は大いに盛り上がっていて、その後も、やりたい人がやりたいことを自由に実施できるように、勉強会を運営しているということでした。
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ここまで読んできた方は、一つの疑問に当たっていることだと思います。
「楽しいだけの勉強会って、会社でやる必要なくない?そういうのって会社の外でするもんじゃないの?」
先の興味ベースの勉強会は、極端に言えば「趣味」と言われてもしょうがないですよね。業務とは全く関係の無いことなので会社でする必要ないじゃん、となってしまうわけです。
確かに「スキルアップ」や「業務に役立つ」が勉強会の唯一の価値だとしたら、先の勉強会は必要ないかもしれません。しかしながら、先の勉強会の価値は「社内の繋がり」や「参加者が自分の興味や好きを見つける」なのです。
これは、社内勉強会のパラダイムシフトじゃないかと思います。
「業務に直接効果があることが絶対!」
という価値観から
「業務に直接効果がなくても、従業員のリテンションやモチベーションが上がればいい!(そこから間接的に業務には効果がある!)」
という価値観へのシフトです。
最近、企業の持続可能性という言葉がチラホラ聞こえてくるようになりましたが、企業の持続可能性には後者のような業績を直接見ない考え方が重要になってくると思います。指標として直接的な「業績」だけを見るのではなく、「業績を作り出すもの」を見ることが、持続可能性を高めると思った次第でした。