組織開発は総合的アプローチである

ちょっと久しぶり(ほぼ1年ぶり!)のブログです。

最近、プログラミングや数学関連の本ばかりを読んでいて、人材系の本があまり読めていなかったのですが、久しぶりに組織開発に関する本をいくつか読んでみました。

例えば今回読んだ本の1つで、最近出版された「人材開発・組織開発コンサルティング」なる本は、筆者の中原先生が「これは教科書である」と謳っている通り、関連知識とこれまでのストーリーがきれいに整理された本だと感じます。

 

他にも、組織開発に関する本は結構たくさん出版されていまして、一時期前に比べて、業界として組織開発に関する知見も一定以上に溜まってきたことを感じます。

この分野で中原先生は有名ですが、中原先生以外にもこんなんとか

 

こんなんとか出てきていますね。

 

今は、もはや古典かもしれませんが、この中村先生の本くらいから、段々と情報が整理されてきたように思えています。(これは新書で読みやすいのでオススメ!中村先生もこの分野では大御所第一人者です)

 

こんな感じで知見は溜まってきていますが、思ったことは、これをしたらOKという何かしらの正解は示されているわけではないということですね(まあ、当たり前かもですが)。

組織開発は、僕らも多少なりは実践させてもらっていますが「試行錯誤アプローチでしかないよなぁ」ということをよく思います。

どこかで「組織開発は総合的なアプローチである」なんて文章を読んだことがありますが、組織開発はただ対話をすればいいわけではなくて、その対話の前後に、知識のインプットがあったり、サーベイがあったり、従業員インタビュー調査があったり、会社のビジョン発信があったり、リーダーシップ研修があったり、本社や関係会社の意向があったり、世の中の情勢があったりと、ホント様々なコンテキストが絡まり合いながら、進行します。1社ごとに、そして1部署ごとにそのコンテキストは異なるわけであって、その1つ1つ異なるものを勘案しながら、組織開発というのは実践する必要があるのです。

 

人と人の関係は単純に1:1ではない

先の「組織開発・人材開発コンサルティング」にて、中原先生は組織開発を「人と人の関係を変えることをきっかけとして、企業の戦略実現に貢献しようとする営みである」と定義していますが、「人と人の関係」というのは、単純に1:1の関係のことではないのが厄介です。

「人と人の関係を変える」と聞くと、普通は面談やら対話やらをしてお互いの理解を深め、コミュニケーションが変化すること、みたいなことを思うのではないかと思います。図で示すとこんなイメージです。

しかしながら、例えばある一方の人が、リーダーシップ研修を受けたとしましょう。研修を受けるとその人の考えは多少なりとも影響を受けます。そしてその影響はもちろん二人の間の関係にも影響を与えます。つまり、「人と人の関係」は二人の外部からも影響を受けるわけです。

先は外部の要素が1つだけでしたが、現実はもっと沢山の要素があります。先に述べたように、研修以外にも、会社の意向もあれば、世の中の意向もあります。もしかすると、プライベートの影響もあるかもしれません。

このように、人と人との関係性というのは、実は様々な要素が影響しながら発生しているものであって、単純に1つの関係性だけを見ておけば良いというわけではないのですね。

これが、組織開発とは総合的なアプローチである、と言われる所以かなと思います。実に様々な要素が絡みあっていて、1つを変えると他の全ても何らかの影響を受ける、というシステムは、単純にこれをしたら正解!というわけにはいかないわけです。

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ということで、戻ってきますが、本を読んで思ったことは、組織開発は試行錯誤でしかない、ということです。

一般的に専門家と言われている人も、まったく同じ現場なんて存在しないわけで、どの現場でもある意味「素人」なわけです。それ故、組織開発の実践を「素人の実践」「素人の専門家」という表現もあったりして、素人なりに考えたことを頑張って実践するのが組織開発である、なんて言葉も聞こえてきそうな気配もしています。

組織開発はそうやって進めるしかないし、正解というのであれば、それが正解なのだろうなと、改めて思った次第でした。