本の読み方をリフレクションしてみた:認知的方略とその変更可能性について

最近、フライデーリフレクションの枠組みで新しいワークショップの実験をしています。

先日は「本の読み方をリフレクションする」ということをテーマにワークショップの実験をしてみまして、その感想を言語化しておこうと思います。

元ネタはこちら、ガニエ先生のインストラクショナルデザインから。(この本はオススメです)

まずインストラクショナルデザインが何かって話ですけど、超ザックリ言うと、教え方の教え方、です。

「こう教えると、相手に伝わりやすいよ!」という技術を体系化してみた、というものがインストラクショナルデザインでして、その中に「認知的方略」というのがあるんですが、それが今回のワークショップのターゲットです。

認知的方略とは、これも超ザックリ言うと、「何かをするときの戦略」です。

今回ならば、本を読むときに自分がとっている戦略です。これは意識的なものもあれば、無意識的なものもあります。

本を読む戦略は意識的なところはなんとなくわかるのですが、無意識的にとっている戦略って意外にたくさんあるんですよね。その無意識側の戦略(認知的方略)を洗い出してみよう、それを(良い物があるのなら)変化させてみよう、というのが全体の趣旨なのでございました。

認知過程を声に出して本を読んで見る

で、具体的に何をしたのかといったら、自分の意識を声にだしながら本を読んでみる、ということをやりました。

例えば次のようなかんじです。

  • この本って何の本なんだっけ?
  • あ、発達心理学だったねー
  • まずはとりあえず目次から読んでみるか
  • なるほど第一章は◯◯か
  • 第二章は◯◯だね、ちょっと言葉が難しそうだな、簡単な部分から読んでみようかな
  • まてよ、そもそも、この本を読んで、自分は何が得たかったんだっけ?
  • そうそう、仕事のこの部分に役立たないかと思ってて、それを一旦図に書いてから本を読んでみようかな
  • でも、面倒くさいし、まず本に線を引いてから図を書くのをやってみようかな
  • 適当に本の中にある図を探してみるか
  • うーん、この図はなんとなくまとまりが悪いな、もっと全体概要が載っている図はないのかな
  • ・・・・・

ってイメージです。

当日は6人でやってみたのですが、一人ひとり、本を読むときに考えていることが異なりました。やっぱり。

結果はどうなったのか

で、結果です。

6人の読み方を分析した結果、例えば次のような本の読み方の戦略(認知的方略)があることがわかりました。カッコ内は認知的方略のラベルです。

  • 自分なりの言葉に言い換えて理解する(精緻化)
  • 同じ部分を3回納得する(リハーサル)
  • まとめの部分をよんで全体を概念化する(組織化)
  • 情景をイメージし、ストーリー化する(精緻化)

・・・・などなど。

これも超ザックリまとめますと、一人ひとりに読み方の戦略があって、それはその人の認知スタイルに適合している、というものでした。

右脳派、左脳派という分け方がありますが、それと似たようなもので、右脳派な人がわかりやすい読み方、左脳派な人がわかりやすい読み方というのが有るようです。僕はどちらかというと左脳派みたいで、本を読むときは「その本の中にある情報の関係性を整理して、概念MAPをつくる」という方針で読んでいることが多いです。

一方、右脳派な人も参加者の中にはいて、その方達は、本をストーリーで理解するという方針で読んでいました。小説とかならそれもわかるのですが、ビジネス書的なものでもストーリーで考えたりするそうで、僕には目から鱗の体験でした。

認知的方略は洋服のようなものである

で、一人ひとりの方略は異なることがわかったのですが、そのいいとこ取りをすることも出来るのか?ということに話しは展開しました。場合に応じて、良い読み方ができるといいですものね。

議論の結果、出てきた言葉は「洋服のように読み方を変える練習をすればいいのでは?」という言葉。

色んなタイプを持っていたら、自分が行く場に応じて適切な服でいけるよね!って話ですね。場合に応じて服を着替えることができたら、素敵だなと。

認知的方略の着せかえにはある程度の練習も必要そうですが、できないこともなさそうな?

まずは自分の本の読み方から変化させてみようと思います。読書体験がどう変化していくのでしょうか。

 

最後に感想をアップすると、

  • そういう読み方があった、というのを今しった!読書はまだまだ楽しめると思った。
  • 本は情報のスキルを上げるため。人が情報を整理しているコツをしりたいと思った。
  • 本の読み方も、右脳は、左脳派がある。その読み方をしている
  • 他人の使っている方略をなぞってみると、参考になるのがあった。クローゼットの種類、服の種類が増えた。今までは白シャツばっかりだったけど、アーミー服を手に入れた。気づくことによって車輪の文化がないけど、車輪をみることで車輪が便利だった!というきっかけになるのが大事だね。
  • もっとはみ出さなきゃ。と思った。自分の読み方が、相対化して見れた。予想以上に目的思考だった。

というのでした。

本の読み方をリフレクションする試みは、結構面白かったです。
今後の展開可能性も感じたので、フライデーリフレクションでももっと応用を追求してみます。

 

 

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以下、自分の振り返りように、僕がメモったものを原文ママにのせておきます。

何のためにこれを読むのかということに対する追求が半端ない。
本は手がかりの1つ。その先に有るテーマに対するこだわり。他の本とかやり取りだとか、
現実に対する問題意識、どう取り組むのか、をがっしり掴む戦略。

整理をすること、次への成長へのモデルケースを探す戦略。
本の中にあるシチュエーション、自分のシチュエーションに重なるところを探す。

読む読み返しのコンテキストを具体的に設定してから読む。レポートを書くためにもう一回読み返す。
途中で、これがわからないからあの人に聞いてみよう。お客さんにいうためにコレをしなきゃ。
他に読んだ本「アレに載ってたかな?」というのと結びつけて理解していこうという戦略
脳内の会話が多い。コレなんだったけな?
これってどういうことだったかな?そうだったかな?というので、自分の理解を鵜呑みにしないで、確かめようとする。

メタ認知で、自分の言葉に置き換えている。
本の構成をし直している。

本の中にないものを活用する戦略。詳しい人に聞く、他の本に当たる。経験に紐つけて感想をいれる。寄り道をする。
はみ出しているもの。

本一冊を映画のようにストーリーで入れようとしている。前の方、真ん中、後でどんなイベントがあるのか?というのを理解する

本の利用価値の吟味をかなり考える。会社の従業員の成長に(今持っているテーマ)に対して、どれだけ使えるか。そこからどう使えば目的に対して使えるのか、それを相当考える。
はみ出しをいかにつくるか、はみ出している本を作りたい。
構造がないと、はみ出しがわからない。

その人の視点で広げていくのか、だったら目的思考になる