インプットとしての経験は年次により異なってくる

経験学習は、その名の通り「経験」から学びを取り出そう!という学習方法です。

その学びを取り出す行為が「リフレクション」という行為で、僕らは次のような図でその概要を理解しています。(図では、学び=意味付け、変化と表現しています)

先日、新入社員の方と話をしてたんですけど、図の左側「経験」は年次により異なってくるんだろうなーということを思いました。

その新入社員さんとは「最近成長したのはどんなこと?」というテーマで話をしていました。

いくつかエピソードや考えを話してくれたのですが、聞きながら思ったことは「新入社員さん、動画サイトから大きな影響を受けてるなー」ということです。

最近、マイクロラーニングという手法が流行ってまして、それは簡単にいうと、短い動画を見て1コンテンツずつ小さいことから学んでいこう!というEラーニングの友達みたいなものなんですが、彼はその動画を定期的に見るようにしているそうです。

で、動画内の講師が話していることに感銘を受けたようで、いざ自分も仕事で実践してみると、思ったより気づきが多かった!これはいいぞ!みたいな感じが、最近の成長したことだ、と教えてくれました。

==
なるほど、若い時ってそうだよねーと思いながら振り返ってみると、僕自身も、確かに若い頃はビジネス書を読んで行動に移してたなーと思うんですよね。僕らに取ってのビジネス書が、今の若手にとっては動画になっているだけで、起きている構造は一緒でした。

若い頃は、仕事に対する考え方とか、(敢えて言うと)何が正しいのか、正しくないのか、というのがわからないわけで、入ってくる情報が全て新しくて、ビジネス書や動画、先輩や上司の考え方を聞いて、吸収して新しい経験を取得するんですよね。

でも一方で、30代に入ってある程度仕事ができるようになると、そういうビジネス書とかを軽視し始めます。「そんなの当然でしょー」と。そして、次第に本屋で手に取るのも恥ずかしくなります(笑)

で、そうなってくると、学びはもっぱら自分の経験からになります。自分なりの経験を自分なりの視点で解釈(リフレクション)し、そこからオリジナルの学びを取り出していく。それが、30代以上の経験学習になってると思いまして、つまり、インプットが20代はビジネス書や他人の考え方がメインだったのが、30代になると自分の経験になってくると思ったわけです。

すなわち、経験学習の「経験」の部分は年次により異なる、というわけですね。
==

話はちょっと変わって、インプットとしての経験が年次により異なるということ、逆になるとたぶん上手くいかないんですよね。

例えば、20代が自分の経験からのみで学習しようとすると、その経験をどう解釈したらいいのかがわからないわけで、土台となる考え方、ここでいうならビジネス書や先輩上司から学んだ考え方があってこそ、自分の経験を解釈することができるようになるわけです。

最近、人材育成の一部では、「上司からは自分の意見や考え方を教えない!答えはすべて若手が持っているから!」という方針もありますが、場合によっては上司が自分の意見や考え方を教える(ティーチングする)のも必要だと思います。

以上、若手社員の方と話してて思ったことでした。

ちなみに、30代は30代で自分の経験からばかり学んでいるとタコ壺に入ってしまうように感じています。ある程度自分の経験から学ぶことができたら、また20代の頃のようにビジネス書や他人の考えをじっくりインプットするのも必要ではないか、と思う現在です。