リフレクションの効果とは:習慣的な行為から脱却するリフレクション

最近、振り返りの効果についていろいろと聞かれることがあります。

そこで今回は振り返りによって得ることができるものをまとめてみようと思います。

今回参考にした本は看護リフレクション入門。

この本は看護の視点からではありますが、リフレクションについて凄くよくまとまっていると思います。一般企業でも使える知識にまとまっていると思いますのでお勧めです。

看護リフレクションによるとリフレクションの効果は次の通りです。

  • 学習ニーズを明確にしていく
  • 人としての個人的成長につながる
  • 専門家としての成長につながる
  • 習慣的な行為から脱却する
  • 自分自身の行動の結果に気づく
  • 観察に基づく判断から理論を構築していくことができる
  • 不確実性の多い事項を解決したり決定することができる
  • 個人としての自己をエンパワメントしたり解放することができる

東めぐみ著 看護リフレクション入門ー経験から学び新たな看護を創造する より

うーん、実にたくさんのことがリフレクションによって得ることができそうです。

個人的には更に追加できる要素もあると思っています。やはりリフレクションによって得られるものには膨大なものがありそうです。

しかし、あまりに要素が多すぎるとわからなくなるので、今回はこの8つの要素の中でも1つの要素に絞って、リフレクションの効果を説明してみたいと思います。

今回取り上げる要素は「習慣的な行為から脱却すること」。

これについて、少し掘り下げて説明してみようと思います。

習慣的な行為から脱却する

リフレクションを行うと、習慣的な行為から脱却することができます。

もう少し具体的に書くと、自分自身のよろしくない行為を止めることができます。

例えば、OJTリーダーのA君、新入社員のB君を考えてみると、A君が後輩のB君にすぐ答えを教えまくるという行為(癖)があるとしたら、その癖をリフレクションすることで取り除くことができるのです。(別に取り除かなくても、もちろんいいです)

この事をもう少し深く見ていきましょう。

人が習慣的な行為を続ける理由

まず、人が習慣的な行為を続けてしまうことについて。

人が習慣的な行為を続ける理由には2つのポイントがあると考えます。

1つはその行動が習慣的なものであると、そもそも気づいていないことです。自分ではその行動をとっていることに気づいていないので、その行動を直そうと思っても直せないのは当然のことです。先ほどのA君の場合なら、自分がB君に対していつも答えをすぐに教えていることに気づいていない場合です。

もう1つはその行動に気づいたとしても、その行動が正しいものだと思っている場合です。その行動が正しいと思っているのですから、その行動を止めようとはもちろん思いません。これも先ほどのA君B君で例えるなら、A君が「後輩を育成するには、答えをすぐに教えるのが1番でしょ!」という考えを持っている場合です。

そんなA君とB君は最初は上手くいっているかもしれませんが、おそらくB君の成長は遅くなってしまうことが予想されます。

A君は良かれと思って教えていたことが、B君の考える力を奪ってしまうのかもしれません。ということで、おそらくどこかのタイミングでA君の習慣的行為(答えをすぐ教える癖)を改める必要があるのですが、その習慣的行為を脱却することがリフレクションを通じて行われるわけです。

そのためのポイントは、先ほどの裏返しになるのですが、(1)自分の行動そのものに気づくこと、(2)その行動は変えた方が良いと気づくこと、でしょう。

行動は言語化して見える化する

まず、(1)行動そのものに気づくことに関して。

行動そのものに気づくには、行動を言葉にして表現することが力を発揮します。

人は行動をある程度無意識の内にしているもので「言われてみればそんな行動していたなぁ」と思うことも、皆さんあるのではないでしょうか。

「話しながらの方が物事に気づきやすいよねー」という人も多いかと思いますが、そんな人は無意識にやっていたことを言語に変換しながらリフレクションをしているわけですね。

先ほどの例でいうなら、A君にはその更に上司のCさん等が「A君はどんな風にB君に教えているの?」などと問いかけること等が重要でしょう。

問いかけることによりA君に自分の行為を言語化してもらうのです。

そうすることでA君は「あ、自分はいつもB君に答えから教えているなぁ」と気づくことができるわけです。

行動を変えるには、行動が求めている成果につながらないと認知すること

次に(2)気づいた行動を改めた方がいいな!と思うことに関して。

自分の行動を改めるには、自分の行動が「求めているものに繋がらないこと」に気づくことがポイントです。

これもA君、B君の事例で例えると、A君がB君にどうなって欲しいと考えているのかを気づいてもらうことです。

恐らく一般的なOJTリーダーなら、後輩がいつまでも教えて君の状態であることを望まないでしょう。A君だってもちろんです。

この事例でも、ポイントはA君の上司のCさん等が「A君はB君にどうなって欲しいの?そのために、自分が支援することは何だと思う?」と問いかけることでしょう。

「後輩の育成とはやり方をそのまま教えること」と考えていたA君も、「言われてみれば、そのまま答えを教えるのでは、新しい状況に対応できないよね」「それは自分が求めていることではないよね」と気づくことができるはずです。

踊り場にいると感じたら、習慣的な行為を見なおしてみる

以上、リフレクションの効果として、習慣的な行為から脱却することについて説明してきました。

これまでは、比較的わかりやすいA君、B君の事例から考えてみました。でもこれって、ある程度経験をこなしている読者の皆様にももちろん適用できる考え方です。

特に自分が踊り場にいるなーと感じている方は立ち止まって考えて欲しいのですが、踊り場にいるのは自分が習慣的な行為を続けていることが原因なんてことがあります。

ついやってしまう自分のクセ、考え方のパターンなど、いつもと同じことを繰り返してしまうせいで、いつもと同じ結果になっていることなどありませんか?

踊り場にいるなーって感じるときって往々にしてそういうことがあるんですよね。

最近成長が止まっていると感じるミドルの皆様、ぜひ行為からの脱却を目指して、リフレクションをしてみてください。

まとめ

以上、リフレクションの複数の効果の中から「リフレクションすれば習慣的な行為から脱却することができる」という部分に関してピックアップして見てきました。

これはリフレクションの効果の中でも非常に重要な部類に入るものだと思いますので、ぜひ応用していただくと良いかと思います。

ちなみに、この話に対応した理論的背景はダブルループ学習というものです。

ダブルループ学習が気になった方はぜひこちらの記事も読んでみてください。

1つ上のステージの学びをつくる。知っとくべきダブルループ学習とは

2015.03.17

リフレクションにはさまざまな効果がありますので、次回はまた違う効果について説明をしてみたいと思います。