※2017/12/29 2017年バージョンにアップデートしました
2014年から公開している、1年間を振り返るシート。
今年バージョンをつくりましたので、こちらも公開したいと思います。
それでは、ご興味のある方は添付のワークシート、手帳などの今年を振り返れるものを準備して始めていきましょう。
ワークシートは下記からダウンロードしてください。
■まずはワークシートの概要を
本ワークシートは、1年を体系的に振り返るために開発されたワークシートです。
1年を次の4つの要素にわけて振り返ります。
- 資源
- 行動・結果
- 学び
- 目標
そして振り返りの結果から次の5つの要素を抽出します
- 総じてどんな1年だったか
- 好きで、得意で、価値があることは何だったか
- 成功は何か
- 失敗は何か
- そこからどんな来年の方針が見いだされるか
それぞれの要素は、密接に絡み合っています。必要に応じて、4+5=9区分を自由に飛び回って、枠を埋めていってください。
基本は好きに埋めていっていただいて構いませんが、自由に記入することが難しい方は次の手順通りやってみると良いでしょう。
■左側(2/3を占める大きい枠、4つの要素)のワークシートを埋める
シートは左側と右側に分かれています。まずは左側のシートから埋めましょう。
※画像は2016年の振り返りになっていますが、基本同じで使えます
(1)目標を埋める
まず、シートの一番下にある、今年の目標の枠を埋めてみましょう。
枠は四半期毎に分けられています。
それぞれの時期にどんなことを目標にしていたのでしょうか。思いつくだけで構いませんので、カレンダーや手帳をみながら振り返って記入してみましょう。昨年ワークシートを使っていたら、昨年書いたことから転記してみましょう。
ちなみに、考えるのは10月~12月の欄から考え始めると直近のことなので思い出しやすいです。(もし実施が6月だったら、4~6月の欄から考え始めると良いです)
- 手帳
- カレンダー
- スマホのカメラライブラリ
- SNSの投稿
などを見ながらやると思い出しやすいかと思います。
(2)行動やその結果を埋める
次に、行動と結果の枠を埋めます。
こちらも思いついたままに記入していけばいいですが、先程と同じように、今自分がいる欄(12月にやっているなら、10月~12月の欄)から記入すると思いつきやすいでしょう。直近のことから思い出すのが一番やりやすいですね。
上司に◯◯を相談した、社外の勉強会にたくさん参加したなどの簡単な行動でもいいですし、売上目標を達成できた、家族が涙を出して喜んだ、などの価値が対応するでしょう。
(3)活用できた資源を埋める
ある程度価値が埋まってきたら、次は資源を考えます。
活用できた資源とは、行動や結果を出すために必要になる(なった)ものです。
先ほど記入した結果の欄を見ながら、次の問いを考えてみてください。
「この結果は何があったから生まれてきたのだろう?何と何が繋がったのだろう?」
この問いを考えると、例えば「◯◯さんがいたから、◯◯のスキルを身につけていたから、この結果が出せた!」というのが出て来ると思います。
ここで出てきた、◯◯さん、◯◯のスキルというのが資源になります。
資源は、結果を出すための材料になるものです。資源を適切に加工(準備し行動)することで、結果が出せるのです。
資源は、「人」と「モノやスキル等」の2つに分けて考えます。
人は、その名の通り自分の周りにいる人達です。上司、後輩、家族、友達、いろんな繋がりがあると思います。「結果」の欄を見ながら、「あ、この結果はこの人が居たから達成できたんだな」とか、連想してみてください。
本ワークシートのポイントは、この「連想」です。
僕達は日々、誰かと繋がり何かを得ています。その得たものを資源に、また新しい結果を出したり、新しい資源を手に入れていくのです。特に人の繋がりは本当に大事です。連想で一年間を辿っていくにつれ、人の大事さに、人から助けられている事に気付くことでしょう。
スキルは、自分が身につけたこと学んだことです。ある価値を出すために、こんなことを学んだということを記入していきます。
モノは、自分の周りにあるモノです。これは、具体的に「新調したPC」、「偶然出会ったあの本」などの「物」でも構いませんし、「自分が主催している勉強会のネットワーク」などの「直接は触れないけど所有しているモノ」でも構いません。自分が利用できる、ヒト以外のモノです。
経験は、結果を導くことのできた自分の過去の経験や、行動することで得ることのできた経験やノウハウの事です。
連想しながら記入していくと、「あ、この資源からこんな結果がでてきたよな」って「結果を思いつくこと」も出てくると思います。結果について連想が出てきたら、結果の欄にそれを記入してください。
今書いている枠に拘らず、連想を活用して枠を自由に飛び越えながら記入するのが本ワークシートの醍醐味です。
(4)学んだことを埋める
前半戦の最後は学んだことです。
学んだことは、目標と行動・結果の差から考えます。
この2つの差は、実績と目標の差ということもできます。
目標を達成するために行動したら、こんなことがわかった、こんなことに気づいた、など書き出してみてください。
また、次へ活かすことを書いてもよいでしょう。
「活用しきれなかった◯◯は、次はこんな風に活用しよう!」
こんなことを行動や結果、そして資源の欄を見ながら考えてください。
ちなみに一連の手順は自分でやるのもいいですが、仲間や友人と一緒にするともっと深い部分までたどり着けることもあります。可能であれば、ぜひ仲間や友人と一緒に対話しながら振り返りを実施してみてください。思わぬ繋がりが連想される可能性大です。
ここまでで前半戦が終了です。ふ〜、疲れましたね。疲れてきたら一旦休憩を挟んでください。
■右側のワークシートの埋め方
(5)どんな1年だったのか
後半戦の最初はシートの一番右上、今年行った活動についてです。
ここまでに書き出した記録を見ながら、総括してどんな活動やプロジェクトを行ったのか書き出してみてください。
「◯◯の土台ができた年だったな〜」とか「◯◯を痛感した年だった。これは◯◯が◯◯だったからかもね」など自分なりにどんな1年だったかをサマライズします。
(6)好きで、得意で、価値があると感じることは?
ある大御所の学者の先生も言ってい たのですが、私達が「キャリアを成功させた!」ということができるなら、それは「好きで」「得意で」「価値があると信じること」を仕事にしている時だと考えます。
一年間を通して、自分の「好きで」「得意で」「価値があると信じること」は何だと言えそうでしょうか?ここでは、そう感じるキーワードを記入してみてください。
特に大切なことは「(世の中にとって)価値があると信じること」です。
自分が価値を信じていることは何か?
ここはぜひじっくり考えてみてください。
自分が何を信じているかは、仕事を進める上でめっちゃ大切です。
なぜかというと、信じていることがないと、困難がやってきた時に打ち勝てないからです。
好きで得意だけのことって、言わば趣味です。そして趣味は「困難」があると続ける気にはなりません。
趣味って自分の好き勝手にするから楽しいのであって、周りの色んな利害関係を考えながら困難を乗り越えてするものではないですよね。
でも仕事は、世のため人の為に、困難に打ち勝っていかないといけない。困難を乗り越えないといけない。
その困難に打ち勝つためには、(世の中にとって)価値がある!と信じれることが重要なのです。それがあると人は前に進むことができます。
あなたが価値を感じていることは何でしょうか。
そしてそれに対して自分の資源を投下することができているでしょうか。
価値を感じないことに資源を投資しているのなら、それは改める必要があるかもしれません。
(7)成功パターン
次は少し飛んで成功パターンへ進みましょう。
シート左側で出した結果、資源などを見ていると、自分が結果を出す場合にパターンがあることに気付けるかもしれません。
それは例えば「地道に正攻法で仕事をしているときこそ価値を出せていた」というパターンかもしれませんし、「作りこみを諦めず、精度を高めていたときに上手くいっていた」というパターンかもしれません。
この成功パターンを抽出して、来年に生かすことこそが、この振り返りの大きな目的でもあったりします。自分の成功パターンをぜひ抽出してください。
(8)妨げてきたパターン
これも成功パターンと同じように抽出します。学んだことに書いたことを参考に考えると抽出しやすいでしょう。
ここで出てきたパターンは、自分が克服すべきことです。来年はこのパターンを克服する、もしくは克服しなくてもこのパターンに陥らない方法を考えましょう。
(9)来年はどんな方針をとるべきか?
振り返りシートの最後の項目です。
ここは「好きで、得意で、価値を信じること」+「成功・失敗パターン」の2方向から考えます。
まずは「好きで、得意で、価値を信じること」を来年に取り込むことから考えましょう。
この3要素を兼ね備えていることをすれば、私達の「働く」はとても豊かなものになります。
どれか1つ欠けていても豊かな「働く」はつくれません。
一朝一夕ではいきませんが、この3要素をバランス良く融合していくことが、長期的な人生戦略にとって極めて重要なポイントになると考えます。
あなたの3要素を満たすためには、来年はどのように行動すればよいでしょうか。その行動方針を考えてみましょう。
正直ここは難しいと思うのですが、最初は仮説で十分です。とりあえず「こうすれば良さそう」ってのでOKなので、まず出してみることが大切です。
で、その方針を考えるときに取り入れて欲しいことが「成功パターン」「失敗パターン」です。成功パターンを増やし、失敗パターンを減らすように方針を考えてください。
そして来年の方針が出てきたら、次の問いでチェックしてください。
- その方針で進めば、日々の行動が好きで、得意で、価値のあることに繋がりますか?
これで一年の振り返り(と簡単な来年の方針づくり)は終了です。
ワークシートは3ヶ月くらいで定期的に見直すとよいでしょう。
一年の振り返りお疲れ様でした。
※余力のある方はワークシート2ページ目、次の1年の計画に進んでください。
■次の1年の計画を立てる
ワークシート2枚目は次の1年の計画を立てるワークシートです。1枚目だけでも一年の振り返りはできますが、せっかくなので次の一年の計画も立ててしまいましょう。
(10)前年の学びを引き継ぐ
まずは、前年の学びを引き継ぎます。
「好きで、得意で、価値があること」にフォーカスするために、自分の成功パターンを中心に「どのような行動をすればよいか」「どのような考え方をすればよいか」を書きましょう。
また、「自分の失敗パターン」を繰り返さないために、「言い聞かせたいこと意識してクリアすること」を書きましょう。
同じように、昨年を振り返ってみて、改めて「自分はどのように生きたいのか」「そのためにどんな方針で1年を進めばいいのか」を書きましょう。
(11)行動の優先順位をつける
優先順位を決めるBOXは新しい部分です。
このBOXは「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」の考え方を取り込んで作成したものです。
PPMはもともと企業が力をいれる商品を考えるための手法なのですが、これが個人が力をいれるべき戦略を考えるためにも使えます。
ここには例えば、こんな感じで今、自分がやっている行動(仕事)を書き出します。
横軸が「現在収益を得ていること」、縦軸が「将来収益を得る可能性が高いもの」です。
例えば、「お茶を汲むこと」は収益を得ることができていますが、将来的に伸びる見込みがありません。
一方「ラーメンをつくる」に関しては、まだお茶くみより収益を得ていませんが、将来的に伸びる可能性が高い分野です。
この図から言えることは、お茶汲みで収益を得つつ、ラーメンをつくることにも分散投資すると、将来的な収益は増えるぞ!ということです。
稼ぐ仕事と投資する仕事(まだ稼げないけど将来稼ぐ仕事)を分けて考えるんですね。これは意思決定をするときに結構使えるやり方だと思います。
みなさんも、自分の仕事をこの図のようにマッピングしてみてください。そして将来的に収益を生み出す可能性が高いものへ投資を進めてください。(シート右側への達成目標に取り入れてください)
ちなみに、マップ左下の「おにぎりを食べる」は現在収益をあまり得ていないし、将来的にも得る見込みのないものです。ここの領域の仕事をはなるべく早くに見切りをつけないといけません。来年の行動目標に反映させてください。
(12)やること、止めることを決める
ワークシート左側の最後の項目です。
このBOXはこれまでの流れを受けて「やること」「止めること」を決める部分です。
自分の成功パターンを生かすことだし、失敗パターンを減らすことだし、自分の生き方に繋がることだし、戦略的に将来の稼ぎに繋がることは何でしょうか。
そのために「やること」「止めること」は何でしょうか。
書き出してみましょう。
(13)次の1年の計画を立てる
最後、次の1年の具体的な行動目標、達成目標を決めましょう。
ここまで書いてきたことから発想を広げて、何月の時点で何を達成していたいのか、そのためにどんな行動をすればよいのか、シート右側に書き出していきましょう。
枠にとらわれず自由に書き出して構いませんが、1枚めと同じように「連想」をポイントにしてください。
「目標を達成する」ために「どのような行動」が必要か、その行動のために「どのような資源」が必要か、その資源を得るために「どのような行動」が必要か。
そういうことを連想しながら、ワークシート右側を埋めていきましょう。もちろん、全部埋まらなくても大丈夫です。あとで振り返る時に「年初の目標はこういうことを考えてたな」と思い出せれば十分です。続きは未来のその時に連想して埋めていきましょう。
■ぜひ、仲間と一緒にやってください
ということで、振り返りシート、計画シートの使い方の説明でした。
少々量が多いのですが、その分の効果はあると思います。自分でも気づいていない部分が、この振り返りによってわかる可能性大です。
この振り返り、1人でやってもいいですが、できれば同じシートを使って複数人の人とやってください。そして、なぜそう書いたのか、どうしてそう思うのか、ということを対話してください。
理由は、仲間との対話の中にこそ自分からは見えない価値が隠れているから、ですね。
年末年始の時間が学びに溢れた時間になることを願っております。