この間、制約理論っていう考え方の勉強会に行って来ました。
制約理論は、もともとザ・ゴールという本を中心にしたゴールドラットという物理学者の考案した理論で、産業界を中心に製造の現場を劇的に変えた理論だそうです。
ナカシマも大学時代にザ・ゴールを呼んで「こりゃ面白い」と思っていたので、一度ちゃんと勉強してみようか、ということで勉強会に参加してきたのでした。
■今回は制約理論を教育に適用、というお話
上でも書きましたが、制約理論は主にサプライチェーン・マネジメントで用いられる理論のようです。凄くざっくり言ったら工場の最適化って考えればいいと思います。
そんな工場を凄くする手法が、なんと教育でも使えるというのです。
行ってみたら、それは当然。
教育用の制約理論は、下記3つのツールで成り立っていますが、これ考える力そのものです。
- 論理構造を表すブランチ
- 対立を見える化するクラウド
- 目標達成を考えるアンビシャス・ターゲット・ツリー
それぞれ、現状を把握して、問題を見える化して、その解決方法を考える。ですね。まさに考える力そのものです。
教育って考える力を付けさせるものじゃないですか、ということで制約理論はまさにピッタリの考えるツールということで教育の現場でイイ可能性を持っているなーと感じた次第でした。
■今回はブランチの勉強
そんな制約理論の勉強会。
今回は3つのツールの1つ、ブランチを中心に扱った勉強会でした。
ブランチって日本語で「枝」のことですが、木の枝の広がりのように、論理の繋がり・広がりを図示して理解しようってものです。
勉強会では実際のブランチをつくってみました。それが写真です。
横向きで少し見にくいですが、矢印でロジックが繋がっているのがわかります。
こんなのを、「なぜ、富士山の山頂には雪が積もっているのか」というテーマで子どもたちと話をするわけです。
子どもと一緒にやったという親御さんが話していましたが、子どもはこれをやっているとノリノリになってくるそうです。
理系の才能がある?子どもは堪らないと思いますww
■ブランチが教科書の行間を見える化する
で、今回すごく大事だと思ったことが、ブランチが行間を見える化するってことです。
ブランチは次の3段論法でロジックをあげていきます
- もし~なら、
- 結果として~となる。
- なぜなら、~だからだ。
例えばこれを理科の水の循環に適用すると、細かいことはおいて要点だけ書きますが、
- もし、水蒸気が上昇するなら
- 結果として雲になる
というのが教科書にある文が
- もし、水蒸気が上昇するなら
- 結果として雲になる
- なぜなら~だからだ。
となるんですね。3は通常書かれていないことも多いです。
でも、これ、3番目に入る言葉わかりますか?
大人の参加者で考えましたが、この中身を考えるのは相当苦戦しました(笑)
これ、教科書のいたるところに適用できて、これを使えば教科書が前提として(省略しているの)ところがバンバン見えるようになると思います。
前提を考える力、前提を見る力です。
これ、クリティカル・シンキングの話ですが、めっちゃ大事ですね。
■思考の仕方にはタイプがある
あと、も1つ。
このブランチをつくりながら思ったことですが、ロジックの出し方(思考の仕方)にはタイプがありますね。
1つはボトムアップで考えるタイプ、もう一つはトップダウンで考えるタイプです。
堅実型、妄想型、と言ってもいいかもしれません。
ボトムアップ型は、ブランチを下の方から考えます。こんな感じです。
こんな事実があった
→ということは、こうだ。
→ということは、さらにこうだ。
→続く・・・(上に上がっていく)
一方、トップダウン型は次のように考えます。
こんなことになるんじゃない?
→ということは、これが必要。
→ということは、次はこれが必要。
→続く・・・(下に下がっていく)
勉強会では2つのグループがあって、片方トップダウン、もう片方ボトムアップになっていたのですが、その結果でてきた結論として、堅実、妄想の違いがでていたのは面白かったです。
■システム思考と制約理論
ということで、制約理論の勉強会でした。
シンプルなワークでしたが、それが力強さを感じさせるワークを体験することができました。
ちなみに、ブランチやクラウドなどは、システム思考のループ図という考え方と親和性が高いと思います。
あるときには、ブランチをつくり、あるときにはループ図をつくる。
似ているので、どっちを使えばいいの?って思ったのですが、最終的には場合によりしっくり来る方で思考を進めるのが、一番生産的になるんじゃないかなーと思った次第です。
場をつくってくれた運営の皆様、一緒に考えてくれた皆様、ありがとうございます。
ご興味ある方はこちらで情報発信しているようなので、どうぞ。
教育のためのTOC 日本支部