対話が理解を深め、新しいモノを創造する構造

 

未来企業って本を読みました。

これ、ワーク・シフトっていう以前流行った本の続きということで、ワーク・シフトが個人向けなら、未来企業は企業向けの未来を提言する本、みたいなものって説明されてました。

さて、読み終わってみた感想ですが、総合していろいろ今考えてることがつながって、「やっぱそうだよね!」って思います。

これからは、いろんな制限が外れて、マジで時代がシフトしていく期間にはいっていくと思います。既存の働き方とか、既存の考え方の枠にハマっていると超もったいないです。ぜひ、自分なりの生き方をみつけて貰えたらと思います。

あ、ただ今回のブログはそんなことを言いたいのではなくて、対話が効果を発揮する構造を言いたいんでした。

というのは、未来企業でも対話のことがたくさん書かれています。
その代表的な効果として、

  • 自分の前提に気づく
  • 多様で深い理解ができる
  • お互いの思いやりができる
  • 創造的なアイデアがでる

というのがありますが、この4つの効果がなぜ生じるのか?その構造を考えてみようってことでの、今回の記事です。

 

■対話を定義してみる

では、対話の構造を考える前に、対話を定義してみましょう。
ここでは、対話を次の3つの要素で成り立つものと考えてみましょう。

  • 同じことを
  • 異なる視点で
  • 繰り返し語り合う

(ちなみに、これは未来企業の1文に書かれていたことを分解したもんです。簡略すぎるかもしれませんが、わかりやすくということでパラメータは少なくです)

これをもっと具体的な対話の場に言い換えてみます。

  • 同じテーマを
  • 参加者それぞれの視点で
  • お互いに認め、刺激し合いながら話し合う

とりあえず、こんな感じで対話ってのを捉えてみましょう。

 

■対話の場をモデル化する

そうやって定義すると、対話の場は、例えばこんな風にしてモデル化することができます。

  • 同じテーマを = スイカについて
  • 参加者それぞれの視点で = Aさん~Dさんの立ち位置
  • お互いに認め、刺激し合いながら話し合う = 矢印の移動

と考えて、次の図を見てください。

スクリーンショット_082314_105215_PM

対話をじゃない場ってのは、図のような感じで、視点が固定されている場です。

Aさんも、Bさんも、みんな「自分の視点」でスイカをみています。

Aさんには縞模様が見えるかもしれませんが、BさんはAさんとは違った模様が見えると思います。Cさんに至っては、切った部分を見ているので、赤い何かが見えているかもしれません。

対話がない場とは、こんな感じでお互いの視点が変わらない状況です。

それぞれ同じもの見ていると思いつつも、違うように見えているので、これが仕事だったら、このまま進めるとマズイことになるわけです。

 

■対話があると、どうなるのか

では、対話の場のモデルを見てみましょう。

スクリーンショット_082314_105224_PM

対話の場ってのは、こんな感じで、それぞれの視点を移動させているイメージです。

それではこの対話の構造がどう次のことに繋がるのでしょうか。

  • 自分の前提に気づく
  • 多様で深い理解ができる
  • お互いの思いやりができる
  • 創造的なアイデアがでる

 

■自分の前提に気づく、多様で深い理解ができる。

まず、自分の前提についてです。

対話をすると、対話を通じてそれぞれの視点に立つことができます

Aさんも「あ、これって赤いって見方もできるんだ!」って気づくことができるわけです。そして「自分(Aさん)はスイカを緑の縞模様のモノって前提で考えてたな!」ってことに気づくこともできます。

Aさんの世界では、スイカは縞模様の緑の物体なわけです。赤くて、甘くて、食べられるもの、なんてことは全然わかりません。

でも、対話を通してCさんの視点を取り入れることで、自分が持っている前提に気づくことができます。そして変えることができるわけですね。

多様で深い理解も視点の移動で説明できますね。複数の視点の移動と体験は、多様で深い理解を生み出します。

 

■お互いの思いやりができる

これは繰り返し率直な意見交換をすることで出てきます。

対話では、同じことを複数の視点から掘り下げます。

対話をしていると、例えば、「なんでその位置からスイカをみているの?」なんて切り口もでてくるでしょう。

そんなことを話していると、自分の生い立ちから、考え方、価値観、そして原体験まで話すこともあるかもしれません。

人って、そういうのに弱いんですよね。

そういうのを共有していると、通常ならムカッとする仕事のミスでも、背景をしっているからこそ応援したくなる!ってのもあるもんです。思いやりは深い対話と共感から生まれてくるんですね。

 

■創造的なアイデアがでる

これ、一番企業が欲しがっているものですね。

対話って、企業の文脈では、最終的にこれを目指しているように思います。

で、なんで対話で創造的なアイデアがでるかっていったら、それは上3つ「自分の前提に気づく」「多様で深い理解ができる」「お互いの思いやりができる」の結果でしょう。

お互いの思いやりがあり、多様で深い理解があると、スイカに関して様々な切り口が出てくるわけです。この切り口が飛躍するときが、僕はアイデアが生まれるときだと思います。

例えば、Aさんの視点では、スイカは緑で重くて丸いもの。です。それが売れるなんて思いません。

一方Bさんは、甘いものは夏に売れる!ってことを知っています。でもスイカが甘いものだとは知りません。

Cさんは、スイカが甘いものだと知っています。でも、夏に売れる!ってことは知りません。

なので、対話のない状況では、スイカが売れるなんてアイデアはでないわけです。

でも、対話があったらどうなるか。そう、「スイカ、売れるんじゃね?」ってアイデアが出てくるわけです。

 

こんなの、ブレストでもでてくるよ!って思う方もいるかもしれません。

確かに、ブレストでも出てくる可能性はあるでしょう。1人で唸ってても出てくるかもしれません。

でも、僕は対話が合ったほうがその可能性は格段に上がると思うのです。

というのは、ブレストでは自分の前提に気づくことが難しいから。

普通に話していると、前提ってホント気づきにくいです。自分の中で、当たり前と思っていることだから、それはしょうがないです。

でも、対話でじっくり他人の意見を受け止めて見ると、案外すっと気づくものだったりもします。

そんなパラダイム変換が、企業の至る所で起こることが、創造的なアイデアを企業が生み出すために必要な体質だと思います。(ちなみに、こういう効果をまとめてレジリエンスという切り口で考察しているのが未来企業って本ですが、それはまた後日まとめてみようかと思います)
というわけで、結論。

対話、大事です。

(そしてリフレクション(内省)がその効果を何倍にも高めてくれます)