定期的に開催しているリフレクション実践研究会の報告ブログです。
今回は第9回ということで、10回も見えてきましたね。
さて、今回の実践研究会は、前回に引き続き企業で活躍している現場の方をゲストにお招きさせて頂いての開催です。
テーマは「現場での学習する組織の実践」ということで、根掘り葉掘りと話を聞いてきたのでした。
ちなみに、学習する組織というのは、このブログの読者の皆様なら聞いたことがある方も多いと思いますが、アメリカの方で提唱されているこれからの組織の在り方の1つです。
学習する組織は非常によく出来た考え方で、これができている企業はめっちゃ強い企業になると思います。(ただ、複雑過ぎて理解することから大変ですが。。)
そんな学習する組織を社内で実践しているゲストは、誰もが知る大手エレクトロニクスメーカーの技術者の方。
技術者っていったら、普通、こんな学習する組織とかには興味ない人が多いのですが、ゲストはあることをキッカケに内省的になった方で、ある考えを突き詰めていた結果学習する組織にあたった方でした。
その考えとは、一人ひとりが自分の価値あると感じることをする、楽しみながら仕事をする、ということ。
キッカケはリーマン・ショックだったと言っていましたが、その時に自分のキャリアについて人生について深く考えたことで仕事は楽しみながらする方がいいという考え方に変わったそうです。
■エンジニアは矛盾をつきつけられて困っているのでは?
ゲストの話しで興味深かったのは、モノづくりの現場のエンジニアは一言で言えば「矛盾を突きつけられて困っている」ということでした。
エンジニアは基本真面目な方達です。「もっとこうすれば良くなるのに」というのは常に思っています。
でもそれを言葉に出して言わないのは、「自分ではどうしようもない」と思っているからだそうです。出来る理由より出来ない理由が先に出てきて、行動をストップさせている、ということでした。
なんでそんなことになるのかと考えてみたところ、参加者の中では次のような結論に達したのでした。
「エンジニアは矛盾を突きつけられて困っているんじゃないの?」
はい、矛盾なんです、会社が求めていることって。
思い出してみてください、新卒で入社した時とか、ビジョンをどーのこーのとか、世の中にどんな価値を出したいのか、とかそんなことを考えさせられてたと思います。
就職ナビのページを見てもらえるとわかりますが、各社、自分の会社のビジョンや人間観を全面に出していますよね。そんなのに憧れて「よし、自分もこの会社でビジョナリーになるぞ!」とか思って入ってくるのです。
でも。
現場に入ると求められることは、マシンになることです。特にモノづくりの現場では、効率的に、正確にアウトプットをすることがシビアに求められます。
これを人間とマシン(機械)の比較で捉えると、入社するときは「ビジネスパーソン(人間)」を求められて入社するのに、働いていると「ビジネスマシン(機械)」になることを求められるのです。
でも会社は、「イノベーションしろ、新規創造しろ」とも言います。エンジニアは、そんな都合のよい矛盾に真面目に答えようとし続けた結果、どうして良いかわからずにフリーズしてしまっている、そんな構図があるのではということでした。
■これから、人間は本来「ビジネスパーソン」であるべきである
ここまでに、パーソン VS マシンの構図がでてきました。ここで思い出すのが、最近話題の人工知能です。
あるレポートによると、日本の仕事の49%は人工知能に置き換えられる可能性があるそうです。
もう、お腹いっぱいの議論かもしれませんが、ここから言えることは、もはや人間はマシンになる必要はないのでは?ということです。(むしろなってはいけない。なると競争で勝てない)
人工知能のおかげで、人間は、ようやく人間らしい働き方を取り戻せるのでは?そんなことも妄想しちゃいます。
人間はクリエイティビティを発揮して、出来ない理由より出来る理由を考える、そんなスタンスになれる気がするのです。
人工知能がある未来、人間はビジネスマシンではなく、ビジネスパーソンとして働くべきなのかもしれません。そうなるとエンジニアの皆様達も、今よりもっとイキイキと力を発揮する組織ができるのかもしれませんね。
・・・ということで、なんだか長くなってしまいましたが、モノづくり現場で起きていることを、今回の実践研究会のレポートとして中島視点からまとめてみました。
■クリエイティブセッションは?
ということで、インプットセッションの後は、恒例のクリエイティブセッションへ。
今回のクリエイティブセッションでは「リフレクティブジャーニー」というものをつくりました。
実践研究会の目的は、組織をリフレクティブにするため、実際にどう実践していけばいいのか?を考えることです。今回はそのロジックを次のように考えたのでした。
- ゲストは、ビジネスマシンからビジネスパーソンへの変貌を遂げた人だった
- ゲストのような人が、組織内に増えると、組織は変化するはずである
- では、ゲストはどう変化してきたのか。どんなストーリーを体験してきたのか
- そのストーリーを一般化したら、それを他の社員にも体験してもらえば、マシン→パーソンへ変化するのではないか
- そのストーリーを「リフレクティブジャーニー」と名付けよう
ということで、ワークショップの結果出てきたリフレクティブジャーニーが次のようなものです。(ちなみに、ジャーニーってのは「旅」のことです。リフレクティブな人になるために、どんな旅を経験すればいいのか、ってイメージですね)
このモデルは、お得意?のストーリー分析を行って作成しました。ストーリー分析の様子は下記の感じ。
詳細は次回(後半)のブログで紹介しますね。