リフレクション実践研究会第5回を開催してきました。
2016年最後の開催となる今回は、13名の方にお越し頂きました。
相変わらず楽しい時間でしたので、当日参加できなかった方にもレポートで共有したいと思います。
リフレクション実践研究会とは?
まずは、初めての皆さまに対してリフレクション実践研究会の説明を簡単に。
リフレクション実践研究会は、その名の通りリフレクションの実践手法を研究する集まりです。
企業や団体内でリフレクションに関する活動を行っている実践者達が集まり、それぞれの活動を発表しディスカッションします。
これまでの開催は次のレポートにまとめられています。
今回はリフレクション実践研究会の主催者でもある菊地大翼さんをゲストに、「主体性」をテーマにしたリフレクションの実践について情報共有をしてもらいました。
今回のポイントは次の通り
それではレポート行ってみましょう!
まずはいつもの自己紹介+本日の興味
まずは恒例の自己紹介です。食べながら飲みながらオーケーのゆるいところがあるリフレクション実践研究会の良いところ。皆さん、リフレクションという軸に共通の興味を持って参加しているので、自然に自己紹介も盛り上がります。
その後、会場から「なんのためにリフレクションをしているの?」ということを共有。
今回のゲストの菊地さんは、一緒にリフレクション実践研究会を主催しているので昔からの付き合いなのですが、こういう根本的なところから問いをつくっていくのが、菊地さんらしい。
リフレクションはあくまで手法や過程であって、それ自体が目的ではないですよね。リフレクションを何のためにしているのか。それを明らかにすることは非常に大切だと思います。
で、会場からはどんな意見が出てきたかといえば、こんな意見。
- 患者さんから言われた情報、自分が持っている情報、それらを上手く組み合わせるため。
- 現代は意味の時代なので、意味を自分で作り出す必要がある。そのためには認知をメタに持っていかないといけない。そのためにリフレクションをやっている
- 研修などで感想の表面的なところだけの振り返りな人が多い。なぜそう感じるのか、そこに何があるのかという、振り返りの深さを深めることをサポートしている。
- あまり気負わずにリフレクションできること、ちゃんと感情もリフレクションすること、のサポートを行っている
- 問いは「自分の問い」にしないと効果がない。その人なりの「自分の問い」をつくることをサポートしている。
- 自分を変えるためにやっている。自分が変わると周りも変わるから。
- 信念対立が深刻化しないように、信念の共有のためのリフレクションをしている。
なるほど。。
聞いていて正直びっくりしました、皆さん本当にいろんなことを考えてリフレクションを実践しているようです。
で、菊地さんが考えるリフレクションの目的とは?
会場からひとしきり意見を聞いたあとは菊地さんの意見です。
菊地さんは、リフレクションを次のように考えているということ。
なんかかっこいいですね!
キーワードは「補いのためのリフレクション」と「創造のためのリフレクション」です。
「補い」と言うのは、その言葉のとおり何かを補うためにリフレクションのことです。これが足りない、あれが足りない、それに気づくことで、無いものを補おう!というのがこのリフレクションです。
一方、「創造」というのは、これもその言葉どおり何かを創造するためのリフレクションです。これが出来るぞ!あれもできるぞ!そういうことに気づいて、前に進んでいくのがこのリフレクションです。
こう考えると、たしかに僕らは一般的に補うためにリフレクションしていることが多いような気もします。そういうときって、外圧によってというか、本当はしたくないけどやらないとしょうがないので仕方なくやっているときですよね。
今回の実践研究会のテーマは「主体性」という言葉ですが主体性は「補う」のときには発揮されにくいけど、「創造」のときには発揮されるのではないか、そんな事を菊地さんは話してくれました。
そもそも主体性とは?
で、ここから次の質問。
どうやら、創造モードのときは主体性がでるようですが、そもそも「主体性」ってなんだろな?菊地さんはそういうことを問うてきました。
まさかの根本からの問いです。さすが菊地さん(笑)
会場の意見は次の感じ。
- その人なりに考えること。
- 自分でなんとかしようと動くこと。
- 自分の問題と思ってるから、他人の問題と思っているか。
- 自分自身主体性はあると思っているけど周りからは主体性がないと言われたりする。自分の感じている感情とかを素直に出せていないって言うのは主体性がないと言われるのかも。
- 主体性というのが相対評価なのか絶対評価なのか。
なるほど、これも面白い意見が多いですね。
会場からの意見に加えて、菊地さんは主体性を次のように紹介。
「やるべきことを自分で考え、行動する際に必要とされるもの」
そしてそれが真の意味で発揮される構造には「思考」「感情」「ニーズ」の3段階を考える必要がある、とのこと。
どういうことでしょうか。
主体性を引き出す3つの要素
では本日のハイライト、思考、感情、ニーズという言葉について。
思考 ⇔ 感情 ← ニーズ
こんな感じでつながっていると考えるとわかりやすいです。
一般的に私達はリフレクションするとき「なぜそう考えるのだろう?」という「思考」についてのリフレクションをすることが多いのではと思います。
しかしながら、その思考の隣には感情があります。
心地よい、心地悪い、悲しい、嬉しい、いろんな感情が思考の側にはあります。
この感情を大事にしましょう、感情に気づいたらそれをじっくり見てみましょう!というのが今回の菊地さんの主張です。
なぜでしょうか。
これ、もう一度見てみましょう。
思考 ⇔ 感情 ← ニーズ
感情の横に「ニーズ」ってありますよね。そして、ニーズから左の矢印があって、感情につながっています。
つまり感情はニーズから生まれてくるよというのがこの式(菊地さん)の言いたいことなんですね。
ニーズってその人が心から求めていることです。こう在りたい、こう関係していたい、そういう普段は無意識の部分にあるニーズってのが実はあるのです。
そして、それに触れているとき感情が沸き起こる。
ここ大事です。
ニーズがあるから感情が起こる。つまり、感情が起こるところにはニーズがある!
そういうことなんです。
感情をニーズのアンテナに
菊地さんはこんなことを言ってくれました。
「感情はニーズを教えてくれるシグナルなんですよ。自分の大切にしたいところに結びついているから、だから感情が現れてくる」
ほんと、そのとおりだと思います。
そして、感情をアンテナにしてニーズを探ることが実は超大事なんです。
というのは、ここでテーマである「主体性」に意識を戻してほしいのですが「主体性」ってどうやって生じるのか?ということなんですよ。
先に説明したように、主体性を「やるべきことを自分で考え、行動する際に必要とされるもの」と考えると、これはどうしたら生じるのか。
ここまで話を進めたらもう伝わっている方も多いことだと思います。
それはニーズです。
主体性を出すためには、ニーズが必要です。
ニーズを満たすことであれば主体性は発揮されるし、そうでないものには主体性は発揮されにくいのです。
ところが、自分のニーズを明確に認知することってかなり難しい。
だから感情が大事で、感情が出てきたときにその奥にあるニーズについてリフレクションをすることが、主体性を発揮するために必要なことである。
菊地さんはそういうことを教えてくれました。
リフレクションの場作りマトリクス
今までのはなしを簡単にまとめたのがこのマトリクスです。
菊地さんは「ニーズ」に触れていることを「Powerあり」と表現しています。((2)の方ですね)
つまり、場作りをするためにはPowerが必要で、それはそこに関わる一人ひとりのニーズを反映させましょうということなんですね。
ちなみに、もう一つのキーワード「Love」については「場の安心安全」という言葉に置き換えられます。その場に参加してよいこと、自分が考えていること・感じていることを自由に発言して良いこと等が含まれます。
僕が感じていることは、この「Love」については考えられている場も増えてきたということです。お菓子があったり雰囲気が柔らかかったりして、場の安心さを出す工夫はされているのですが「Power」に関してはまだ物足りない場も多いのではないかと感じています。
そこに参加する人達の一人ひとりが何を成し遂げたいのか。
それを共有することで、Powerは生まれます。
安心安全(Love)に加えて、ニーズ(Power)を掛け算することが、主体性を発揮する場には必要ということでしょう。
今回のまとめ
ということで、今回のまとめです。箇条書きで表現してみます。
- 主体性を発揮するリフレクションとは何か?
- 主体性とはその人のニーズに沿っているかどうかで決まる
- 主体性を引き出すにはニーズを引き出すことが大事
- ニーズは感情に結びついている
- つまり、感情が現れたときにその感情の裏にあるニーズを探るとよい
- ニーズがあると場にPowerが生まれる
- Powerのある場が主体性のある場である
こんな感じでしょうか。
当日の会場ではこのモデルをもとにした、会社での実践を話してもらいました。今回のブログでは公開できないのですが、ご興味ある方はぜひ次回以降の実践研究会に参加して菊地さんに話を聞いてみてください。きっといろんな事を教えてくれると思います。
最後に会場からの感想を。
- リフレクションをすると、自分が事実だと思っていたことの解釈が変わる。解釈が変わった瞬間から相手との接し方が変わる。そこの実体験と今回の話は一致した。
- 単純に面白かった。
- 自分の中でいろいろ広がって収集つかない状態。
- 評価のためのリフレクションか、創造のためのリフレクションか。そういうところに差があることが分かった。
- 感情を利用すると言うところは踏み込めなかった領域。
- 感情がくれた問題以外は考えてもしょうがない。ニーズという足元を考えないとパラダイムシフトは起こらないね。
- ニーズとのズレがあるから感情が起こる。
ということで、第5回リフレクション実践研究会でした。
2017年も続けていきますので、ご興味ある方はこのFBページとかをチェクして貰えたらと思います。