キャリアデザインと人間中心デザイン

今回は、キャリアデザインは人間中心デザインであるべきというお話をしてみたいと思います。

キャリア教育やキャリア支援に興味がある方には面白い視点の話しだと思いますので、ちょっと読んで頂けると嬉しいです。

  • 人間中心デザインとは
  • キャリアデザインとは、ユーザーが満足するキャリアを歩むことと考える
  • 点で考える、線で考える

では始めていきましょう。

■人間中心デザインとは

人間中心デザインとは、Human-centered designといわれている考え方で、人間中心設計とかユーザー中心設計とかいろんな呼び方で言われているものです。

これ、何かというと、一言で言ったら「エンドユーザーが使いやすいように製品やサービスを設計しよう!」というものですが、IT業界を中心にしばらく前からブームになっている考え方です。

最近のトピックだと、デザイン思考という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、デザイン思考も人間中心デザインで語られてますね。

そんな人間中心デザインですが、今使われているところは、企業の製品、サービス開発の現場となっているようです。

ただ、それは結構もったいないことだと思ってて、ナカシマはその人間中心デザインの考え方は、キャリアデザインとかにも超使えると思っているのです。

もちろん思っているだけでなく、ちゃんと応用もしてます。ナカシマ、リフレクション実践コミュニティという活動をしているのですが、その実践コミュニティのコンテンツは実は人間中心デザインを応用して作成されています。

では、人間中心デザインとキャリアデザインがどのように関わってくるのか、ちょっとだけまとめておきましょう。

■キャリアデザインは、ユーザーが満足するキャリアを歩むことと考える

まず、キャリアデザインの定義から考えてみます。

一般的にキャリアデザインといえば、「ユーザー(キャリアの本人)が満足する働き方、生き方をすること」と考えられます。そして、そのデザインをビジョンはなんだ、自分の特性はなんだ、ということを考えながら、日々考えて行動していくというのが一般的なキャリアデザインが持っているイメージだと思います。

キャリアデザインの「ユーザーがどうしたら満足するのか」ということを突き詰めるのは、人間中心デザインと全く同じですね。

では、その人間中心デザインをどうキャリアデザインに生かすことができるのでしょうか。

一言でいうなら、既存のキャリアデザインは点(よくて点線)で考えているけど、人間中心デザインを使えば点でなく線で考えることができるようにできる、ということでしょう。

では、もう少し詳しく説明してみます。

■点で考える、線で考える

今のキャリアデザインは、なんというか、点で考えることが多い気がします。ビジョンとかいろいろ考えるのですが、今のキャリアデザインは、あくまで「そのときに頭で思っていること」でデザインしている気がします。それをナカシマは「点で考えている」と表現しています。点で考えていると、その時はホントにそう思ってたとしても、時間が経つと想いが切り替わったり、「本当はこうじゃなかったのに」とか考えてしまいます。そこが既存の点で考えるキャリアデザインの弱点ではないかと思っています。

では線でキャリアを考えるとはどういうことでしょうか。
線で考えるとは、連続的に「今、考えていることが本当にそうなのか?」を考えることです。実験と検証の繰り返しといってもいいでしょう。

具体的には、「自分のビジョンはこれかもね」ということがわかっても、それは仮説だと考えます。仮説は検証してこそ、本物に近づきます。人間中心設計の言葉でいうところのラピッドプロトタイプのようなものです。

では、その「ビジョンの検証」とはどうすればいいのでしょうか。

これも人間中心設計と比較しながら考えると、いわゆるエスノグラフィー的な手法で行います。簡単に言えば、そのビジョンを持っている自分を観察し続けるのです。そのビジョンを持ちながら進んでいる自分を誇り高く思うか、ワクワクするか、というのを、日々の経験をもとにしながら随時検証していきます。それで本当にビジョンだと感じたらそれは一端の大きなビジョンとして考えていいですし、そうでなかったら、次のプロトタイプをつくればいいわけです。

キャリアデザインには、この「線で考える」という、人間中心設計に近いキーワードが大事じゃないかと考える今日このごろです。

中でも、ビジョンのラピッドプロトタイピングは結構面白いので、ぜひやってみるといいと思います。

ちなみに、ナカシマはこの人間中心デザインは、こんなワークショップで知識を組み立てていきます。楽しいw

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