好奇心の3タイプ、そして重要な知的好奇心をどう呼び起こすのか

子どもは4万回質問をするって本を読みました。

最近、リフレクションカードキッズという、子ども用のリフレクションカードを作っておりまして、その一環で子ども×問いについて考えているのです。

読んでみて、面白い部分があったので、情報のまとめと共有の記事を書いてみます。

■好奇心を持つことが大事

まず、この本の主張から。

この本の主張は「好奇心を持つと人生、経済的にも精神的にも豊かになるよ」「だから、みんな好奇心を持とうぜ!」ってことだと感じました。

本の中には「好奇心格差」なる言葉も出てきて、好奇心があるか、ないかで、社会的な地位も凄く影響されるよってことが書いてあります。

納得。

だって、これからの社会は情報とか知識とか、価値あるものは、すぐにコモディティ化する時代ですからね。

世の中にあることはコモディティだらけなんです。

つまり、自分で新しいことを考えだす力を持ってないと、コモディティ化した・陳腐化したものしか手に入らない時代なんですよね。

それはすなわち、世の中の出来事に対して好奇心をもち、そこから新しい知見を生み出す人でないと、価値あるものにアクセスできないということです。

アクセスできる人はずっとアクセスできるけど、アクセス出来ない人はずっとアクセスできない。格差は拡がりますよね、それじゃ。

なので、格差を縮めるためにも、一人ひとりがもっと好奇心を持ちましょう、そうすれば格差も埋まるし、何より人生楽しいですよ!ってことですよね。

■好奇心には3つの種類がある

ということで、好奇心を持つこと大事!ってのはわかりました。

次は、好奇心って何なの?って話に入っていきましょう。

本によると好奇心には3つのタイプがあります。

  • 拡散的好奇心(いろんな方向に発生する知りたい!という欲求)
  • 知的好奇心(知識と理解を深めたいという欲求)
  • 共感的好奇心(他者の考えや感情を知りたいという欲求)

本を読み進める中で僕が解釈したのは、

  1. 拡散的好奇心が最も基本的なもので、
  2. それが知的好奇心に進化する。
  3. その進化の条件は、推測と現実の不整合、情報の空白の2タイプ。
  4. それを上手く子どもに提供する環境の設計が大事。

ということでした。

■拡散的好奇心と知的好奇心

まず拡散的好奇心について。

拡散的好奇心は、その名の通り、いろんな事に興味を持つあの好奇心です。

小さい子は色々なことに興味を持つのはまさに拡散的好奇心です。拡散的好奇心により幼児は実験をして、自分は世の中とどのように関わっていけば良いのか方針を獲得するのです。

そんな拡散的好奇心は、方向性がなく束縛もないものです。放っておくとすぐに飽きて、新しいことに興味を移します。

新しいことに興味があるのは良いことですが、飽きては変え、飽きては変え…というサイクルは良くありません。

拡散的好奇心で興味を持ったものは、表面的な理解ではなく、深める理解だって行う必要があるわけです。

■知的好奇心とその2つの側面

ということで、次に出てくるのが知的好奇心です。

拡散的好奇心で興味を持ったものを、ググッと深める。その探求の原動力になるのが知的好奇心。

本によると、拡散的好奇心と知的好奇心の違いはそこに「専門的な知識の積み重ね」があるかどうか、です。

表面的な理解ではなく、重層的な知識の積み重ねがあるかどうか、それが拡散的好奇心と知的好奇心を区別するポイントということ。

ここで気になるのは、その拡散的好奇心が知的好奇心に成長するためには、何が必要かということ。

その部分に関しては「必ずしも成長するかはわからないけど、拡散的好奇心で興味を持った対象が次の2点を満たしていると、成長する可能性は高いよ!」ということだと解釈しました。

  • 予想と現実の不整合がいい感じ!(ピアジェ)
  • 情報の空白がいい感じ!(ローウェンスタイン)

どういうことでしょうか。

これは次の図をみてもらうと非常にわかりやすいです。

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好奇心が縦軸、予想と現実の不整合、情報の空白が横軸です。

どーいうことかというと、例えば予想と現実の不整合ってのは、「きっとこれはコウでソウだろうなー」って予測していたことが「あれ、思ってたのと違うじゃん!」っていう状況になることです。

そんな状況になると、人間は好奇心を動かされます。「なぜああなったの?」「え、超気になるんですけど!」と思うのですね。

ただ、これは図を見てわかるように、不整合の度合いが大事です。

不整合が小さすぎるとあまり好奇心は動かされません。逆に不整合が大きすぎると、自分の範囲を超えているので、それはそれで興味を持たないのです。

予想と現実の不整合が「いい感じ」と書いてる「いい感じ」とは、まさに「丁度良い不整合さ」であることなんですね。

これは非常に面白い考えですよね。(この本の一番のハイライトだと思います)

ちなみに、情報の空白に関しても基本は同じです。知っている領域の隣に情報の空白があると「なんだこれは!?」と気になりますが、空白が些細なことだったり、逆に大きなこと過ぎると「自分には関係ないね」と興味は持ちにくい、って内容です。

■好奇心を育むには外部からの支援が結構大事、そして知識も大事

とうことで、拡散的好奇心を知的好奇心に育てるには、いい感じの不整合さや情報の空白が必要だということがわかりました。

ではその「いい感じ」はどうやったら作ることができるのでしょうか。

結論から言えば、子どもに対してだったら、親や周囲の環境がそれをデザインするんだよということでしょう。

「いい感じ」って自分ではわかりにくいものです。

好奇心がある子の親は質問上手ってことですが、それは「いい感じ」の質問を子どもにすることが上手ってことだと思います。

その「いい感じ」を続けていると、拡散的好奇心が沢山の知的好奇心に進化するんでしょう。

ここで言いたいことは、子どもの(大人も)好奇心は「その人の才能に依存するのではない」ということです。

周りがどれだけ支援するかというのが、実は大いに影響しているというのが重要です。

そしてもう一つのポイントは「知識そのもの」も大事だよということ。

これは情報の空白に対して好奇心が生まれることが関連しているのですが、情報の空白っていうのは、知識があってこそ生まれるというものだからです。

知識が何もない状態だと、そこは空白です。あまりに大きい荒野の空白なので、そこに好奇心は生まれません。

知識がある程度ある状態でこそ、空白は目立ちます、気になります。

詰め込み教育が批判されることもありますが、詰め込みは詰め込みで良い効果があると思います。そう、情報の空白をつくるだけの知識を与えてくれるからです。

…ということで、好奇心について、子どもは4万回質問する、からまとめて見ました。

文中にも書きましたが、個人的に一番ヒットしたのは、図の考え方です。

「いい感じ」を支援することができるよう、リフレクションカードキッズの開発に活かしてみようっと。

ということで、子どもは4万回質問するに関して、読んで解釈したことのまとめでした。

本記事は、基本的に僕の解釈ですので、本が主張するものとは異なる場合もありますので、その点はご留意ください。