KPTという振り返りの手法があります。
KPTは簡単に使うことができるので、いろんな会社さんでもプロジェクトの振り返りに使われている手法です。
ただ、やってみて「うーん、なんだかフワッとするな。。」と思っている方も多いと思いまして、今回は、KPT(Keep, Problem, Try)法を効果的に行うためのいくつかの視点について書いてみようと思います。
KPTがうまくいくための前提条件
振り返りがうまく機能するためには、2つの前提条件があります。これが揃っていない段階でKPTをやってしまうとフワッとします。
1. 目的・目標が共有されていること
まずは目的や目標が共有されていることが必要です。KPTを実施する際、そもそも「何のために振り返るのか」が明確でないと議論がぼやけてしまいます。会社でやっていると、例えば部署の改善目的や目標がそれにあたると思いますが、まずそれを全員が理解している状態か?というのがKPTがうまくいくための必要条件です。
2. アクションプランが自分ごととして捉えられていること
KPTをやるからには、その前に何かしらの行動(以下アクションプランと表記します)があるわけですが、アクションプランを参加者が自分ごととしてやってきたか?というのも大切です。
例えばアクションプランが「面倒くさい上司からの指示」として受け止められている場合、KPTへの参加も受け身になっちゃいますよね。参加者が日々業務の中で自分ごととしてアクションプランを意識し、主体的に行動できていれば、その経験を自分の言葉で具体的に振り返ることができます。この語りの具体性の違いが、KPTをフワッとさせるのか、ガチッと熱量のあるものにするかの分水嶺になるわけです。
KPTを進める3つの視点
2つの前提を満たしていれば、具体性のあるKPTの準備は整っています。ここからKPTをさらに有意義なものにするために、以下の3つの視点も持っておきたいところです。
視点1:目的・目標の確認
KPTの前に、改善計画の目的や目標を再確認しましょう。これにより、全員が同じ方向を向いて議論に臨むことができます。たとえば、「コミュニケーションを円滑にすることでチームワークを向上させる」といった目標を立てていたのなら、改めてその目標を共有して、そのためにこういうアクションプランをやってきたよね、と流れを振り返ります。
視点2:話はとにかく具体的に
次に、アクションプランを実行した結果について話し合います。ここからがいわゆるKPTになってくるのですが、その際「どのような行動を取ったか」「その行動が目標にどう寄与したのか」を具体的に語ることがポイントです。抽象的な意見ではなく、現場での具体例を引き出すことで、KPTが深まります。
例:良い語り
- 「ミーティングの優先順位を整理する提案をした。具体的に◯◯という判断基準をつくり、全員で運用させた。その結果、会議時間が短縮されて作業時間が確保できた。」
例:悪い語り
- 「あまり話す時間がなかったので、もっとコミュニケーションをよくしたいと思って話し合った。」(具体性に欠ける)
このように、現場のイメージがわく具体的な言葉で語れると、次の改善策も見えやすくなります。
視点3:目標の再設定
当初設定した目標が適切であったかを検証しなおすことも有効です。KPTは行動に焦点をあてた振り返り手法になりますが、行動は目標から生まれてくるものです。目標はあくまで仮説であるため、実践を通じてより適切なものに修正することが必要な場合もあります。
例:目標の修正
- 初期目標:「コミュニケーションを改善してチームワークを向上させる」
- 修正後:「部署内での情報共有をスムーズにし、タスクの引き継ぎミスを減らす」
例えば、KPTをしているうちに「タスクの引き継ぎミスの解決が一番重要だ!」となったのであれば、目標を上記のように修正して、そこにつながるアクションプランにフォーカスする、なんてのも一つのやり方です。目標が具体的になるほど、日々の行動が目標達成に結びついていることを実感しやすくなります。
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以上、KPTがフワッとしているときの改善点としていくつかの視点をメモしてみました。
KPTを成功させるには、とにかく話の具体性を重視することが鍵になります。抽象的な話し合いでは実際の行動につながりにくく、話に具体性を持たせることで、次の改善行動や新たなアクションプランが明確なものとなってきます。
参加者が「自分の行動が目標達成にどう貢献したか?」を具体的に語れるようになると主体性も上がりますし、振り返りを通じてより適切な目標を再設定するプロセスも生まれます。
KPTが上手くいかないなーと思っている方は、ぜひこれらの視点も踏まえながらKPTを実践してみてください。