ストーリーで経験を分析するということ:第6回リフレクション実践研究会の報告

先日、第6回の研究会を開催してきました。

今回のテーマは、前回に引き続き「深いリフレクションをするには?」というもの。

リフレクション(振り返り)は大事なんですが、人によって上手下手もありまして、それを属人化せずにいろんな人が上手にできるためにはどうすればいいか?また企業の現場でリフレクションを上手に実践するためにはどうしたらいいのか?ということを考えるのがこの研究会の趣旨なのでございます。

■Inputセッションは前回の復習から

リフレクション実践研究会はInput&Creationを一つのコンセプトに掲げています。

今回のInputは前回の復習ともなる、深い振り返りに必要な要素から。

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前回までの成果物は上のようなカードに収まります。

深い振り返りには

  • 気づきの種があること
  • スイッチとなる体験があること
  • 勇気を持つこと
  • マイナスの感情に出会うこと・・

など様々な要素があることがわかったのが前回。

それぞれの要素を簡単に復習して、「そうだよね」と納得いったところで今回のCreationへ。

■Creationはストーリーでやってみる

今回のCreationはストーリーで経験を分析していく!というもの。

この時点で??の方も多いかと思いますが、ストーリーってのは実は分析に凄く使える手法です。
まあ分析と言っても質的分析っていって、いわゆる一般的に思いつく分析(量的分析)とは違うのですが、そのへんは置いとくとして、とても面白い分析ができたと思います。

■ストーリーで分析するということ

ではストーリーで分析する、とはどういうことなのでしょうか。

まず全体像をクリアに掴むため、分析ということばを共有しておきましょう。

分析とは、デジタル大辞泉によると次のように表現される言葉です。

【複雑な事柄を一つ一つの要素や成分に分け、その構成などを明らかにすること】

ナカシマは、これに加えて、

(構成などを明らかにしたあと)再現性を持たせること、そのデザインができるようになること

と定義して、分析というものを考えています。

つまり経験を分析するということは、

経験を要素にわけ、
どの経験がどうリフレクションにつながっているのか、
要素ごとの関係性はどのようなものなのか、を明らかにし、
他の場面で再現させる、再現できる行動をデザインすること。

と考えることができます。

この分析の定義を共有した上で、ストーリーを使った分析というのを説明すると、その全体像は次のようにあわらすことが出来ます。

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例えばストーリーAとストーリーBがあるわけです。

A、Bどちらのストーリーも、前回までに出てきた振り返りの要素を使って作られています。

するとストーリーAは◯△□×の順番で要素を並べてリフレクションの経験をつくっているのですが、ストーリーBはそれとは違う順番で要素が並べられていたり、違う要素をつかってストーリーが作られている、なんてことが起こります。

同じ要素を使っても、作る人(Aさん、Bさん)によって、作られるストーリー(A、B)が違うわけです。

この差異が出てきたらしめたものです。様々なものが、この違いから浮かび上がってきます。

例えば、モレヌケの発見です。ストーリーAにはない要素が、ストーリーBには使われていたということがわかれば、それは新しい▲の要素が深いリフレクションには大事!ということがわかります。

また、ストーリーAを他人視点からみたとき、そこに新しい要素■があったら、もっとストーリーAのリフレクション経験は深くなるはず!なんてこともわかります。これも要素のモレヌケを発見する有効な手段足りえます。

加えて、要素を並べる順番なんてものからも新しい視点が引き出せます。並べ方の順番によって、要素の時系列の関係性がでてくるのです。

例えば、この要素が生きるためには、前もってこの要素を体験している必要がある、というものですね。

つまり、深いリフレクションをするために、どの要素がどんな関係でつながっているのか、影響しあっているのか、ということがわかるわけですね。

こうやって、ストーリで差異を見ていくと、それぞれの要素がリフレクションとどのように関わっているのか、という関係性がでてきます。

関係性は効果を発揮する組み合わせ、デザインを明らかにします。

つまり関係性がわかれば、良いリフレクション経験をデザインすることができます。

そういうものを引き出すことが、実はストーリーによる経験を分析するということなのです。

■ストーリーで分析した結果

で、実際にやってみたのが次の写真です。

今回は4人のストーリーテラーにより、それぞれのリフレクション経験ストーリーっていうのを考案してもらいました。ストーリーのテーマは「20代のあの後輩のリフレクション経験をデザインしてください」というもの。

どれも面白くて、もっと突っ込んでみたいこと山盛りのストーリーでした。

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それぞれのストーリーを解説したいところですが、それをやると更に長い記事になりそうなので、今回はやめときますw

で、大事なポイントだけ共有すると、ストーリー分析の結果、よいリフレクション経験には共通のフォーマットがあることが見えてきました。
それがこちらの写真の左側にある列です。

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4種類のストーリーにやんわりと、

協力者(上司など)との良い関係性をつくる(がある)
モヤモヤ経験をする
仮説を立てる
検証する
協力者よりフィードバックを得る

というフォーマットが見えたのです。
言われてみたら当たり前の流れですが、ストーリーで分析することにより、協力者がスタンスとして持っておくべきことも明らかになってきました。
横にある赤字のカードは協力者側の要件で、後輩のリフレクション経験をデザインするには、自分側(協力者側)にもフォーマットとして用意しておくべき心持ち、準備があることがわかりました。

■今回のまとめ

ということで、今回のまとめです。

ストーリーでリフレクション経験を分析することにより、後輩(20代)のリフレクション経験をデザインするには次のようなフォーマットがあることがわかりました。

また、その経験をデザインする上で、上司側にも次のような要素が必要であることがわかりました。

自分から歩み寄る
安心感、尊敬、信頼を得る
良かったことを肯定してあげる
リスクヘッジを取りながら、後輩に任せきってみる
その後、後輩が再現性を出せるかテストする(ためのベンチマークを開発しておく)
勇気を持つ

ただし、これは20代の後輩のリフレクション、かつ、ある程度自分で考えることのできる後輩という条件がありました。
そうでない場合は、また違うデザインの構造が出てくることだと思います。

企業の現場は、もちろん、多種多様で、今回のデザインが生きる場面もあれば、全く効果がない場面もあるものと想定されます。その中でいかに良いリフレクション経験をデザインしていけるか。

その問いは引き続き第7回の実践研究会で考えてみようと思います。

リフレクション実践研究会の第6回の報告でした。

回を押すごとに面白くなっているこの研究会、興味のある方ならどなたでも参加可能ですので、ぜひお気軽にお越しいただければと思います。少人数限定で、じっくり深い議論と知識デザインをやっていきましょう(・∀・)

次回詳細はこちらのページからどうぞ!