思考の拡張をデザインする仕掛けとは:最近接領域理論

最近の僕のキーワードに「拡張」というのがあります。

人工知能が思考の拡張だ!と言っていた記事でピーンと来たのですが、リフレクションカードも思考の拡張を狙っているツールだよね、と思ったのです。

リフレクションカードでは、カードを使って思考を拡張することで、いつもはしない質問をすることができます。

ある仕掛けに従って設計された問いが、自然な形で思考を拡張するのです。

この「ある仕掛け」は、いろんなところで使えそうなので、ちょっと概要だけまとめて見たいと思います。

リフレクションカードで起きていること

リフレクションカードを使ってよく頂く感想が「日頃はしないような質問をすることができた!」というものです。

質問を受ける方ではなく、質問をする方の感想なのですが、いつもの自分と違う考え方ができた!と言ってくれるのです。

リフレクションカードを使うと、なぜそのような現象が起きるのでしょうか。

実はこの現象、設計して起こしている現象です。

というのは、質問する人の思考を拡張するように問いを設計しているので、その設計が綺麗にハマったときに思考が拡張される、つまりいつもと違う質問ができるようになるのだと考えています。

ポイントはちょっと先にある:ヴィゴツキーの最近接領域理論

では、思考を拡張するような設計とは何でしょうか。

今のところ僕が採用している考え方は、ヴィゴツキーの最近接領域理論というものです。最近接領域理論は、子どもの発達についての考え方です。超ザックリ言うならば次のような感じ。

子どもを支援するときは、周りの人とちょっと背伸びをして出来ることにチャレンジさせてあげなさい。簡単に出来ることではなくて、ちょっとだけ背伸びをする領域が一番トレーニングになりますよ。

これを「思考」に応用してみたのが、リフレクションカードの取り組みです。

リフレクションカードは様々な問いで構成されているのですが、問いにはいくつかのレベル感があって、どれかの問いが質問する人のちょっと背伸びをしたところにあるように設計されています。

最近接領域理論の1つのポイントは「頑張ればできる!」という部分であると思ってます。この「問いを使うこと」も質問する方が考えることを頑張ればふと気づけるはず!という仮説を元に作られています。

で、もう1つのポイントは「周りの人!」という要素が入っている部分です。これも忘れてはいけないポイントで1人では出来ないけど助けがあればできる!とい部分をいかに設計するかが大事です。リフレクションカードでいうなら問いを複数人でワイワイと出していくので、他の人が出す問いを参考に「お、そう来るんだったら自分はこんな問いを出してみようかな?」という連想が起こります。その連想行為が周囲の人の問いを媒介にして発生してて、それがジャンプ台のような役割を果たしていると考えています。

ということで、最近接領域理論を参考に(1)ちょっとだけ思考を頑張らせる、(2)他人の視点をジャンプ台にする、という設計をしているのがリフレクションカードなのですが、結果は狙い通りにデザインが機能してて、ピーンと来る問いが思い浮かぶわけです。

以上が、思考の最近接領域理論とでも言える(かもしれない)リフレクションカードを見ながら質問をする人の中で進んでる思考の流れでしょう。

頑張れば気づく(出来る)設計、それが拡張の設計

ということで、まとめ。

何かを拡張するときって、いきなり大きく拡張しても使えなかったり、わからなかったりします。

よい拡張のポイントは「ちょっとだけ拡張すること」「他人と協力すること」です。

それら2点が存在するように、プログラムなり対話なりを考えればいいのです。

以上でございます。

ちなみにそのちょっとだけ拡張の「ちょっと」が難しいという意見もありますが、その見つけ方はまた今度。。

とすると、絶対書かないので、箇条書きだけ。

  1. 観察
  2. ブレスト
  3. モデル構築
  4. 実験
  5. 検証(必要なら1~3のどこかに戻って繰り返し)

です。この辺の考え方もどっかでまとめないとなあ。。

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