実践コミュニティの構成要素3 ~実践について~

前回、前々回と、実践コミュニティの要素として

「コミュニティ」

「領域」

について記事を書きました。

今回は、3番めの構成要素「実践」について情報をまとめてみようと思います。

■実践コミュニティの「実践」について
コミュニティ・オブ・プラクティスによると、実践とは「コミュニティメンバーが共有する一連の枠組みやアイデア、ツール、情報、様式、専門用語、物語、文章のこと」とあります。また、別の説明では「コミュニティが生み出し、共有し、維持する、特定の知識」ともあります。

例えば、コミュニティの領域(興味、関心)が「日本茶を極める」みたいなものだったら、実践は「日本茶の種類、つくり方、急須の形、お湯の温度、お茶の葉の育て方・・・」などが対応する感じでしょう。

一言でまとめると、実践とはコミュニティの活動の結果アウトプットされたノウハウや知識ということができます。

まさにこの実践という要素があるから、実践コミュニティは「実践」コミュニティと名付けられているのでしょう。

そして、この「実践」はコミュニティの成長に比例して大きくなります。コミュニティが活性化すれば、実践として出てくるアウトプットも有効なものになるでしょうし、逆の場合も然りでしょう。

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とまあ、実践に関する説明は短くてあれですが、面白いのはこの実践をコミュニティで共有する方法です。

実践っていわば知識のことなので、コミュニティで知識を共有するためには、そのためのマニュアルをつくりましょう!みたいに普通は考えると思います。

もちろん文章でマニュアルをつくる方法もあるのですが、そうでない方法、例えば物語形式で実践を伝える方法もあるようです。

例えば日本茶の美味しい入れ方を、口頭で孫の世代に伝えていくって方法は、マニュアルを経由する伝達手法じゃないですね。

職場で先輩→後輩との話のなかで伝わる実践も、マニュアルではありません。

そうなんです、知識だからといって、何でも文章に落としてマニュアルにしてデータベースに登録して・・・ってやる必要はないわけです。いや、むしろ文章などを使わないほうが効果的に実践が共有できる場面があるということですね。

会社のタバコ部屋で知識伝達は行われているなんて言葉もありますが、実践コミュニティの実践の伝達は、実に様々な方法で行われているってことですね。

これは一昔前にITに依存したナレッジマネジメントというのが流行ったけど、ITに依存しすぎたゆえに、ITでは伝えられないナレッジ(実践)は伝え切れなくて、しかもその伝えきれないカテゴリのナレッジが多すぎて、ナレッジマネジメントのシステム自体がダメに成ったみたいな話に繋がります。

まさにナレッジ(実践)の上記性質を見逃していたのが原因なのでしょう。